2011年12月20日火曜日

打ちだしの小箱



キラキラと光を反射しながら流れる渓流には、
真夏でも素足がすくむくらいに冷たい水が流れていました。

子供の頃、毎年のように連れて行ってもらったキャンプの思い出。

澄んだ川底には色んな形の小石が転がっていて、
それを家に持ち帰り、絵の具やマジックで落書きして遊ぶのが好きでした。


そんな記憶をもとに作ったのが写真の小箱です。

金属の板を丸みのある小石の形に打ちだし、
その上に絵を彫っていきます。

銀の箱には季節の草花を、
金鍍金の箱は様々な葉っぱを彫りました。

受けの裏側には小さな足がついているので、
ほんの数ミリ地面から浮いています。

足無しでべたっと置くより、佇まいが軽やかでコロンと可愛らしく見えます。
また、影がふわっと淡く出るのも特徴です。



お気に入りのピアスやリングを入れておく
ジュエリーボックスとしてはもちろん、
お香や朱肉入れ。紅入等々。

何を入れようかな。と、
楽しい想像ができるのも小箱の魅力のひとつです。





毎年恒例のキャンプを心待ちにしていた夏休み。
ひろって来ては何かを作るってスタイルは
二十数年たった今もかわらず。


2011年12月14日水曜日

葉っぱのブローチ


去年の夏
いつもより、ちょっといい温泉宿に泊まって散歩へ。
途中、ぱらぱらと降り出した雨で濡れた路面をぼんやり眺めていると
なんとも可愛らしい葉っぱが一枚落ちていました。


周りを見渡すと、苔むした古木や石垣に
つたを伸ばしたその葉っぱがぐるぐると何枚も連なっていました。
キリッとしたハート型の輪郭と、
中心からスゥーッと伸びた葉脈がとても印象的でした。


旅行から帰り、摘んできた葉っぱが萎れないうちに
急いで作ったのがこのブローチです。


銀の板を葉っぱの形に切り出し、
葉脈を薄く打ち出して作っていきます。
それぞれ少しずつ大きさや形を変え、
中には虫くいのあるものも。

コートやニットのアクセントにはもちろん
マフラーの留めとして使っても、とてもきれいです。




旅先で雨。ホテルの窓越しに、
見知らぬ街を歩く人をぼんやりと眺める午前中。
歌詞は全く分からないけれど、勝手にそんなイメージです。


温泉旅行は湯河原だったんだけども。



2011年11月21日月曜日

海鳥のコーム


12月の3日、4日
目黒のホテルクラスカ8Fギャラリーにて
New Jewelryのイベントに参加いたします。


去年からスタートしたこのイベントは、デザイナー・作家が各ブースに立ち
直接販売するという企画です。

それぞれ特色のある32組のブランドを
見て回るだけでも楽しいですし、
ワークショップやデモンストレーションなど、
ショーケースの中とはまた違った視点で
ジュエリーを楽しめるイベントです。


写真は出品予定の
海鳥のコーム

左からカモメ、ウミガラス、千鳥。
鎚目をつけた真鍮の板をひとつずつ
糸のこで切って作っていきます。

櫛の歯に丸みをもたせてあるので、着け心地はなめらかで、
また抜け落ちる心配がないくらいしっかりと髪をホールドします。

ざっくりとまとめた後ろ髪に
ちょこんと挿してもかわいいですし、
和装にも素敵です。

自分でもとても気に入っているシリーズなので、
こういうときはちょっと女性が羨ましい。

イベントにお越しいただいて、
手にとってお試しいただけると、作り手として嬉しいです。

2011年11月11日金曜日

花のピンブローチ


一昨日より、銀座松屋でのイベント
New Direction In Jewelryが始まりました。

会場は7F、リニューアルしたデザインフロアです。

今回のイベントでは海シリーズの他に
小さな花のピンブローチも出品しています。

写真はコスモスとササユリ。


白い花弁には純銀、中央の花心を純金で作り、
茎や葉は18ctグリーンゴールドを使っています。

塗装や着色をせず、金属本来の色味を活かした作りを心がけました。




ジャケットの胸元やコートの襟に。
帽子のアクセントにも素敵です。

また、立てて飾れるスタンドがセットでついているので、
使わないときは、小さなオブジェとしてもお楽しみいただけます。


コスモス、ササユリの他に
凜とした佇まいの水仙や、可愛らしい黄色い花びらのカタバミ。
小さい頃、編んで遊んだシロツメクサなど。

どれも、庭先や道のはしに
そっと咲いているような草花です。


胸元で小さくはなやぐピンブローチ。
お越しいただいて、手にとって見ていただけたら幸いです。

会期中11日(金)、12日(土)は12時より在廊です。


2011年11月4日金曜日

New Direction In Jewelry


『New Direction In Jewelry』

松屋銀座、11/9からのイベント。
8つのブランドが2期に分かれての展示販売です。

私が参加するのは前半の11/9-11/15まで。
11/11(金)、11/12(土)は会場に立って直接販売いたします。

新作の貝殻や小石モチーフのジュエリーの他に、
定番の葉っぱや野花をモチーフにした
ピアスやピンブローチも出品予定です。



写真2枚は葉っぱのピアス。
耳もとで軽やかに揺れるタイプです。

ケーキやアイスティーのアクセントによく使われるミントの葉っぱ。
光沢を抑え、柔らかい印象のピアスに仕上げてあります。



レモンの葉っぱは細長で、ミントと同じ仕上げ方でも
キリッとした印象のピアスになりました。



どちらも18ctグリーンゴールドと、純銀の2パターン用意しております。

1ピースずつの販売なので、お手持ちのピアスと合わせても
違った印象をお楽しみいただけます。





動画はドビュッシーのアラベスク1番。
この曲の意味を音楽の先生が言ったのは、

木漏れ日の森を抜ける静かな風。

当時ちんぷんかんぷんでしたが、
今、分かるような。分からないような。

でも、こういう風を受けて揺れるピアスはいいかも。








2011年11月1日火曜日

展示終わって。



恵比寿のgallery deux poissonsでの展示も無事終了。
お越しいただいた皆さま、ありがとうございました。

期間中、たくさんのお客様に
実際にジュエリーをお試しいただきました。

ショーケースの中では静かなオブジェのようなジュエリーが
大げさかもしれませんが、身につけたとたん
時間が動き出したように、パアっと活き活きしだすように思えました。

やはり、ジュエリーは身につけてこそのもの。
そんな瞬間に作り手として立ち会えたのは本当に嬉しいことでした。


直接お客様とお話しが出来る、このような機会を
これからも大事にしたいと思っています。




和室の日だまりで朝寝中の飼い猫にゃんぺー。

つられて、ほっとひと息といきたいところですが
ここは堪えて次の催事の準備。
次回は11月9日から22日までのイベント。銀座松屋にて。



2011年10月28日金曜日

ぺらぺら石のピアス




丸みがあって、とても薄い。

逗子の海岸で見つけた小石が、このピアスのモチーフです。


かどが取れ、ヤスリで磨かれたように薄くなったその小石は
波に揉まれたとてつもなく長い時間を想像させます。

一目で気に入り、夢中で拾い集め
その日は泳がず、重たくなったポケットをジャラジャラさせて帰宅。




写真上は18ctゴールド。下はシルバー。
光沢を抑えたマットな仕上げは、どれも静かで柔らかい印象です。

本物の小石のように、ひとつずつ形を変えたので
作るのが楽しいピアスでした。

10/30までの展示期間中、deux poissonsにてご購入いただけます。








晩年まで破天荒な生き方のチェットベイカー。
でも歌声は丸く、とても優しいです。



2011年10月25日火曜日

あまい記憶


ちょうど咲き終えてはしまいましたが、
キンモクセイの懐かしくも甘い香りはまだ記憶に新しいはず。

クラスの女子が楽しげにキンモクセイの花を
ガラスの小瓶につめていたのを思い出します。


写真はそのキンモクセイのピアス。

ぷっくりとしたオレンジの花弁にはK20ゴールドを。
薄緑色の茎はK18グリーンゴールドで作りました。

ポストとなる茎には緩いカーブがついているので
身につけてみて、横からのシルエットが
とてもキレイに見えるようできています。

耳もとから、小さくはなやぐゴールドのピアス。
ちょっとした外出も、きっといつもと違う気分に。



キンモクセイの甘い香りは、
この人の歌声。







2011年10月23日日曜日

うそばっかり


 何年かぶりに新作として作るリングには
貝がらをモチーフに選びました。

 左から、あかんぼの爪という意味の「BABY NAIL」
折り目のあるスカート「PLEATED SKIRT」

どちらもトップの貝が指に沿うよう、
動くようになっています。

実際に身につけてみますと、甘すぎず、
とてもきれいな印象のリングに仕上がりました。



ヨーロッパの古い言い伝えで、貝がらを身につけた女性には
 遠く東の海から幸運がおとずれる、、、

みたいな、物語を探したのですが、
特にありませんでした。

うそをつくのが上手な父ならば
さらっと言いのけてしまうのですが。

 小さい頃、その父と行った海へのドライブ。
カーステレオからよく流れていた曲。




2011年10月21日金曜日

La Mar




新作のディスプレイのイメージは砂浜からの遠景です。

誰もいない砂浜を、歩けば足下には貝殻や丸い石っころ。
また、ふと見上げれば、堤防にたたずむ海鳥や、
とおく水平線をゆく貨物船。

それらのモチーフを指輪やピアス、
小さなオブジェにしたのが今回の新作です。


写真の貨物船は、人差し指くらいの大きさのオブジェ。
窓辺に置けば、そこが水平線となり、
テーブルの上では太平洋のど真ん中。


会期は10月30日まで。恵比寿のgallery deux poissonsにて。
週末は在廊予定です。近くにお越しの際はお立ち寄りくださいませ。


凪いだ沖、ぷかぷか浮かんだ帆船で 
昼寝しながら、聞いていたい曲。 

十月の海辺



今月14日より30日まで、
「十月の海辺」
というタイトルで、新作の展示会をやっております。
場所は恵比寿の gallery deux poissons にて。

ご一緒させてもらうのは、瑞々しくもクールな
ジュエリーブランドSIRI SIRIさん。(写真左)

ひとけのない、静かな秋の海が今回のモチーフです。



今回の展示につけた「十月の海辺」というタイトルは、
20世紀ブラジル音楽の巨匠、
アントニオ・カルロス・ジョビンの名曲「三月の水」への
オマージュだったり。なかったり。

動画はジョビン本人が歌う、その三月の水。
世界一幸せで素敵なデュエット。
お相手は、みんな大好きエリス・レジーナ



2011年10月19日水曜日

Bach Goldberg Variations: Aria



急遽開設したホームページ。
その作業中、何度もループして聞いたのが
バッハのゴールドベルグ変奏曲でした。

ほこりっぽい音楽室で見た、
しかめっ面の肖像画からは
想像できないくらい、軽やかでとても繊細な曲。